私はできるだけ早い段階で、スタッフマネジメントを院長自らではなく、スタッフから選抜された(または外部から採用した)チーフを中心に行うことを推奨しています。
チーフは言ってみれば、クリニック・歯科医院におけるハブ機能です。
院長は、現場への要望はチーフに伝えます。
チーフは、院長の要望をかなえるべく、該当するスタッフに指示を出します。
もちろん、指示を出すだけでなく、その進捗管理まで担います。
完了したら、院長に報告します。
現場スタッフは、クリニックに対する意見や要望などは、まずチーフに伝えます。
チーフは、その場で回答できることについては、その場で回答します。
聞いた意見・要望がクリニックのためになるとチーフが感じた場合、院長にそれを提言します。院長が聞く前に、チーフがフィルターになるということです。
ここまでの話、チーフがいないとどうなるでしょう?
院長は、現場への要望があるときは、スタッフに指示します。
その際、誰に、なんて指示するか(言葉の選び方)も含め、自分で考えます。
もちろん、指示通りに事が進めばいいですが、報告してこないスタッフの場合、その進捗管理も自分でやらなければいけません。
現場スタッフは、クリニックに対する意見や要望などは、院長に直接伝えます。
院長は、ことあるごとにその相手をする必要があります(相手をしないと、「意見を聞いてくれない院長」と陰口たたかれかねません)。
もちろん、聞いた以上は、回答をしなければいけません。
意見を採用するならいいのですが、採用しない場合、なんて言って(傷つかないように)断るかなども院長自身で考えなければいけません。
院長にとって、どちらが幸せでしょうか?
しかし言うまでもなく、チーフの人選は大事です。
一度選んだチーフは、そう簡単には解任できません(正確にはやろうと思えばできますが、かなり角が立つことが予想されます)。また、チーフがハブとして機能しなければ、その意味がありません。
もっと悲惨な状況としては、チーフが労働組合長のごとく現場スタッフの中心となって、色々意見(というより要求)をしてくるようになることです。こうなると、おさめるのが大変です。
チーフにふさわしい人材は、一言でいえば経営側の視点に立てるスタッフです。
何かスタッフから意見や要望があったとき、経営側の視点に立てる人は「このスタッフの要望を飲むか否か」という論点では検討しません。「クリニックにとってプラスかマイナスか」で考えます。露骨に言えば、スタッフが望んでいるかどうかは関係ない、ということです。
スタッフが望んでいても、クリニックにとってプラスでなければ、やらない。
スタッフが望まなくても、クリニックにとってプラスであれば、やる。
これが経営側の視点です。
この視点に立てるスタッフは、なかなかいません。ですが、全くいないということもありません。
あるいは、その資質がある人を教育し、チーフに育てるという方法もあります。
勿論、外から採用するのも選択肢としてはアリです。
今チーフがいないという院長先生、よく検討されてください。
今チーフがいるという院長先生、そのチーフは経営側の視点に立ててますか?
